アメリカ服飾社会史研究会
ジェームズタウンのプランテーション 植民者の小屋
撮影 濱田雅子
1770年代のウィリアムズバーグで使われていた織機の複製品
18世紀の布を再現しているMax Hamrick氏 撮影 濱田雅子
株式会社PUBFUN POD出版 2023年3月14日発売
アマゾンでペーパーバック 定価 2,750円(税込み)
Kindle版 998円 アマゾンで販売中 unlimited対象商品
【要旨】
本書『19世紀アメリカのドレス・リフォーム思想』は、拙著『パリ・モードからアメリカン・ルックへ―アメリカ服飾社会史近現代篇―』(株式会社インプレス R&D POD出版、2019年)〔ネクパブ2022アワード審査員特別賞授賞]の第一部の内容を、以下の二部に分けて、発展的に考察することを目指している。
本書が対象とする読者層は、服飾関係や女性問題の専門家、学生、介護や福祉関係の方々、ファッションやジェンダーや人生哲学・思想にご興味を持たれている一般読者の皆さんである。
第一部では、ジェイムズ・C・ジャクソン(James Caleb Jackson)のドレス・リフォーム思想と活動について、以下に示す彼の著作の翻訳紹介と考察を中心に扱う。
1.American Womanhood: Its peculiarities and necessities(1870)Maple Beach, N.Y. (public domain )
2.Jackson Sanatorium (1898). Year Book of the Jackson Sanatorium, Dansville, N.Y. (public domain ed.).
3.How to treat the sick without medicine, 1871, HathiTrust Digital Library. (public domain)
また、Jackson博士の奴隷制廃止運動にも目を向ける。
これらの著作は、今日、改めて注目され、復刻版が出版されるか、あるいはデジタル版がネット上で配信されている。著作権は、いずれもpublic domainである。これらの歴史的資料(第一次資料)には、とりわけヨーロッパからアメリカに導入されたファッショナブルで拘束的な衣装が、女性の健康に及ぼす生理的影響という視点から、また、医者の視点から、赤裸々に分析されている。
本書は、これらの著作物からジェイムズ・C・ジャクソン博士の著作とリディア・S・ハズブルック編集の『シビュラ』誌の内容をさらに掘り下げて考察した。また、ドレス・リフォームの問題を健康増進、医療の視点のみならず、ジェンダーの視点、社会運動の視点からも考察した。19世紀アメリカの非生理的なファッションが、女性の健康に及ぼした影響をリアルに描き、その治療がどのように行われていたのかについて、ひじょうに具体的に解説されている。19世紀アメリカの服装問題のみならず、わが国の今日の超高齢社会 における健康増進施策、すなわち、医療やリハビリの在り方にも、大いに資する内容の古典である。
第二部では、19世紀アメリカのドレス・リフォーム運動の指導者であったリディア・セイヤー・ハズブルック(Lydia Sayer Hasbrouck)が編集・発行した新聞『シビュラ』(Sibyl)の記事の内容紹介と考察をおこなう。
ジェイムズ・C・ジャクソン博士は全国ドレス・リフォーム協会の創設から解散まで、中心人物として活躍した。その意味で、本書の第一部と二部は、相互に関わりあっている。本書は『パリ・モードからアメリカン・ルックへ』の第一部の内容を深め、発展させた著作であると確信する。
本書は、これらの著作物からジェイムズ・C・ジャクソン博士の著作とリディア・S・ハズブルック編集の『シビュラ』誌の内容をさらに掘り下げて、考察した。本書では、発行の背景、読者層、内容の詳細を『シビュラ』誌の記事を紹介・考察するという手法で、きわめて具体性をもたせて扱った。また、ドレス・リフォームの問題を健康増進、医療の視点のみならず、ジェンダーの視点、社会運動の視点からも考察した。
第三部のまとめでは、第一部、第二部のまとめを行い、筆者の見解を明記した。
第4章にドレス・リフォーム運動の概要をまとめた。この章からお読みいただくとドレス・リフォーム運動に、より親しみをお持ちの上、この運動の思想をご理解いただけるのではないでしょうか。また、この運動にさらにご興味のおありの皆様は、拙著『パリ・モードからアメリカン・ルックへ』を読まれた上で、本書を読んでいただくのも読み方の選択肢といえよう。
目次
期日:2023年7月 10:30-12:00
場所:ガレリア亀岡3階 会議室
ゲスト:濱田雅子氏 (神戸からオンラインで配信)
元武庫川女子大学教授 アメリカ服飾社会史研究会会長
テーマ 「写真が語るアメリカの民衆の装い(その5)ー1890年代の民衆の生活文化を垣間見る―」
コーディネーター:未定
主催 Office Com Junto 共催 アメリカ服飾社会史研究会 亀岡国際交流協会
【オンライン参加者の申し込み先】どなたでも、オンラインでのご参加希望者の方は、研究会事務局にメールで申し込んで下さい。
アメリカ服飾社会史研究会事務局 サイトマップの「問い合わせ」からメール送信してください。ご所属とご参加希望動機をお書き下さるようお願い申し上げます。
申し込み先 alamode7@american-mode.com
ZoomのURLのアドレスと資料をお送りさせていただきます。 会長 濱田雅子
【現地参加者の申し込み先】
参加者:どなたでも 前日まで
参加費:600円
申し込み先:Office Com Junto 主宰 児嶋きよみ
E-mail : kiyomi-kojima@gaia.econet.ne.jp Tel:0771-23-6579
『写真が語る近代アメリカの民衆の装い』(株式会社PUBFUN 2022年4月15日)B5判 p.352
※株式会社インプレスホールディングスと株式会社メディアドゥは、両社のプリントオンデマンドサービス事業を統合し事業展開を行う合弁会社 PUBFUN を2022年4月1日に設立しました。
アマゾンでペーパーバック販売中
定価 3,850円(3,500円+消費税)
Kindle版 1,500円 (4月16日より販売)
内容紹介
近代アメリカの民衆の装いを、写真から読み解いた他に類を見ない画期的な本です。一般の読者の皆さんにもわかりやすく、面白く、物語風に書かれ、思わず、民衆の生活文化史の世界にいざなわれます。
私たちのまわりには、バックグラウンドも名前もわからない人々が写った沢山の写真が残されています。実際に過去に着用されていた衣服に馴染みがないときに、無名の被写体が写った写真に示された衣服を解釈しようとすると、彼らが他の種類の歴史的な分析を行うどれほどすぐれた腕前をもっていようと、間違いを犯す可能性があります。
Joan Severa, Dressed for the Photographer: Ordinary Americans and Fashion, 1840-1900, The Kent State University , Press, 1995.
本書は、ミドルクラスや下層階級のアメリカ人たちが、ダゲレオタイプの銀板写真技術が導入された1840年から1900年の60年間に、記念写真や日常生活の写真に、どのような装いでおさめられたのか、かれらのバックグランドや服装のディテールの分析も含めて、マテリアル・カルチャー(物質文化)の視点から書かれたJoan Severa女史(1925-2014)による大作です。掲載された写真は何と277枚。服飾の専門家の視点で写真のなかの服装が的確に分析されています。
ヨーロッパやアメリカの上流階級の装いを扱った書物は、沢山、ありますが、アメリカの庶民(民衆)の装いを扱った書物は、J・セヴラ女史の上記の著作以外には、一冊もありません。
この大部な著作は、ジョーン・セヴラ女史が30年と言う歳月をかけて取り組まれた大作です。濱田のこの著作は、読者の皆様がジョーン・セヴラ女史の約600ページの大著をご活用いただくためのいわばガイドブックとしてまとめたものです。ジョーン・セヴラ女史の写真分析に基づいて、筆者の独自の立場から、写真が語る近代アメリカの民衆の装いを分かり易く解説させていただきました。
筆者はアメリカの庶民服を38年間に渡って研究してきました。本書は筆者の新しい研究書の普及版であり、翻案権を遵守して書かれた著作です。
本ガイドブックでは、ダゲレオタイプ、アンブロタイプなど写真技術史についても紹介しています。写真技術の発展に伴い、被写体の範囲が一部の金持ちの中流階級以上の人々から、中流・下層の民衆へと広がり、家庭裁縫に携わっていた人々、学校の教師、リフォーム・ドレスの運動に携わっていた人々、移民、西部入植者、農業労働者、解放奴隷、自由黒人、ネイティヴ・アメリカンなどミドルクラスや下層階級の様々なカテゴリーに属する庶民の写真が掲載されています。
我が国でも、海外でもとてもマイナーな分野の研究書です。セヴラ女史が収集されて、解説された素晴らしい、目を見張るような材料を、本ガイドブックを通じて、服飾研究者や学生や衣装デザイナーの皆様や映画監督の皆様や写真のアーキヴィストの皆様のお手元にお届けできれば幸いです。多くの読者の皆様に愛読されることを願ってやみません。
以下に、"A Look at Old Photograph"と題するYoutubeの動画をご紹介します。
Joan Severa女史(1925-2015)による貴重な写真解説です。
アメリカの服飾に限らず、多民族の服飾文化(ヨーロッパ諸国、アジア諸国の服飾文化)に関する研究発表や講演、書評会、西洋服飾史・民族衣装セミナー、ワークショップ(デザイン画、手芸、コスチューム・ジュエリー制作など)を行って参りましたが、2020年より、新型コロナウィルス感染症の蔓延により、上記の様な集いが持てなくなっています。そのため、会報発行、および、オンライン講座による持続可能な活動を行っています。下記より、お気軽にお問合せ下さい。ただし、研究会の趣旨に沿わないお問合せには、対応できかねます。