著書・翻訳書

ネクパブPODアワード2022受賞のお知らせ

濱田雅子が審査員特別賞受賞

「本書は2009年に東京堂出版から刊行された『アメリカ服飾社会史』の近現代篇で、19世紀から20世紀のアメリカ服飾社会史が290頁にまとめられ、事項と人名に関する豊富な索引で、資料としての価値も高い書籍となっています。日本の書籍と雑誌の出版は1996年の2兆7千億円をピークにして26年連続で下下がり続け、半分以下の市場規模になってしまいました。そんな中で、良書の続編を待ち望む読者と、書き残しておきたい著者を結びつける方法として、デジタル技術を活用したPOD(Print on Demand)は最適な仕組みといえるでしょう。商業出版では、著者は執筆し、編集者が校閲や図版などを支援し、デザイナーが表紙や本文をレイアウトし、出版社が販売促進を行うという分業体制ですが、PODはそれを一人で行わなければなりません。濱田さんは「一人でおこなえること」を喜んでおられるようで、ご高齢ですが、DTPを学ばれ、すべての作業をご自身で行われたことに感銘を受けました。

 

この本は、絶版になることがなく、将来にわたって販売され続けることも、喜ばれていると思います。」(イースト株式会社 取締役会長 下川和男)

『アメリカ服飾社会史』重版  株式会社PUBFUN 2022年7月26日 POD出版 

ISBN   9784802078399

アマゾンでペーパーバック販売中 定価 3,300円

Kindle版 1,000円 アマゾンで販売中 unlimited対象商品

 

【重版の背景】

『アメリカ服飾社会史』の初版が東京堂出版から発行されたのは、2009年6月のことである。多くの読者の皆さまのおかげで、2015年には品切れになった。それから、7年の歳月が経過して、このたび、ようやく重版の運びに至った次第である。本書の重版に当たって、初版の誤字・脱字の修正、内容の追加・修正、索引の添付を行なった。このようなオンデマンド出版という新しい時代の出版革命に、いちはやく呼応して、重版出来を認めて下さった東京堂出版の名和成人氏に心から感謝の意を表したい。

 

【内容紹介】
本書では、植民者とともに渡ったヨーロッパのファッションは、アメリカという大地でどのような変化を遂げたのか?その独自のファッションがつくられる過程に迫ってみた。さらに20世紀において、パリモードからアメリカンモードへの転換がいかにしてはかられていったのか?アメリカン・ファッションの世界発信にも目を向けた。学術書的な読み物ではあるが、一般読者にも読みやすく、興味深い一冊をめざし、アメリカの民衆の衣生活を、以下の8つの章に分けて、社会史としてわかりやすく描き出した。
わが国では、著者が38年間に渡って取り組んできたアメリカの服飾史研究の分野、とくに上流階級のみならず、中産・下層階級、アフリカン・アメリカン、先住アメリカ人の服装に関する研究は、大変、マイナーな研究分野である。しかし、今や、貴族の煌びやかな服飾にだけ、目を奪われている時代ではない。このファッションのグローバル化が急増した時代において、民衆の衣生活や生活文化史にも目が向けられなければならない。

 

【目次と各章の内容】
第1章 北アメリカの自然と衣文化
 ヨーロッパ人の新大陸への移住の結果、ヨーロッパの服飾文化がアメリカ大陸へともたらされた。だが、時代をさらにさかのぼれば、アメリカ大陸には先住アメリカ人の先祖がすでに渡来していたのである。そこで、本章では、北アメリカの先住アメリカ人の7つの文化圏について、その自然環境や衣文化に目を向けてみた。


第2章 プランテーションの衣文化
 ヴァージニア、ニューイングランド、そしてニューネザーランドという三つの植民地を扱い、どのような階級の人々が、どのような動機で、何を着て、また何を携えて移住したのか、植民地での衣生活はどのように繰り広げられたのか、といった観点から、植民者がヨーロッパ人からアメリカ人になっていく様を検証した。とりわけヴァージニア植民地については、上流人の服飾文化を生産面で支えていた黒人奴隷の衣生活に目をむけ、アメリカ的ファッションのルーツを探ってみた。


第3章 アメリカらしさの萌芽
 独立革命期、アメリカ人としての服飾がいかに誕生してくるのかを追った。アメリカの上流階級のマナーに注目し、彼らのファッション観を検証した。また、中産階級の働く女性にとって、きわめて運動機能性に優れた労働着であったショートガウンの実態に触れた。さらに、女性の衣装の機能性という観点から、ブルーマー・コスチュームの誕生とこの衣装が短命に終わった歴史的背景について補足的に加えてみた。

第4章 フランス・ファッションへの憧憬
 ジョゼフィーヌ・デュポン夫人とマーガレット・マニゴー夫人の往復書簡の分析を通して、彼女たちがフランス・ファッションの虜になる様を紹介した。18世紀末に交わされた時代の生き証人ともいえる書簡には、アメリカという異文化社会で生きる二人のフランス人女性の葛藤が描き出されている。

第5章 ローウェル工場の日々
 木綿工業都市ローウェルの工場で働く女性労働者の生活や衣文化の実態を、『ローウェル・オファリング』という雑誌に掲載された当時の手紙や日記から探ってみた。


第6章 西部開拓時代の衣生活
19世紀後半にはアメリカ中西部のフロンティアであるカンザス州に移住した女性たちの衣生活をとり上げる。ローラ・インガルス・ワイルダーの『大草原の小さな家』に描かれた自給自足の生活実態を、ヘルベンストン氏の研究に依拠しながら衣生活の視点から検証し、さらにローラ家の足跡を追ってミネソタ州での生活実態にも言及した。

第7章 家庭裁縫から既製服生産へ
1840年代から1920年代にかけての家庭裁縫から既製服生産への発展過程を、パターンシステムを中心に 扱う。

第8章 衣服大衆化の時代
 20世紀、衣服大衆化の時代を、既製服産業の発達および アメリカン・ファッションの発達に目を向け、とくにニューヨークにおける百貨店の発展とからめてとらえてみた。さらに戦時下から戦後にかけての衣文化については、ニュールック、ヒッピー・スタイルなどと近年の現象の中で、また、クレア・マッカーデル、ラルフ・ローレンやGAPなどにも言及しながら、 現在のアメリカン・ブランド形成に至る過程を追ってみた。

 

【『アメリカ服飾社会史』シリーズ(1~4)】
シリーズ1 『アメリカ服飾社会史』重版(株式会社 PUBFUN, 2022)
シリーズ2 『パリ・モードからアメリカン・ルックへ―アメリカ服飾社会史近現代篇―』(株式会社インプレス R&D, 2019年)
シリーズ3 『アメリカ服飾社会史の未来像――衣服産業史の視点から―』(株式会社インプレス R&D, 2020年4月)
シリーズ4 『20世紀アメリカの女性デザイナーの知られざる真実――アメリカ服飾社会史続編―』(株式会社インプレス R&D, 2021年4月)


『写真が語る近代アメリカの民衆の装い』(株式会社PUBFUN  2022年4月15日)B5判 p.352

 

※株式会社インプレスホールディングスと株式会社メディアドゥは、両社のプリントオンデマンドサービス事業を統合し事業展開を行う合弁会社 PUBFUN を2022年4月1日に設立しました。

 

アマゾンでペーパーバック販売中

 定価 3,850円(3,500円+消費税)

Kindle版 1,500円 (4月16日より販売)

 

内容紹介

 

近代アメリカの民衆の装いを、写真から読み解いた他に類を見ない画期的な本です。一般の読者の皆さんにもわかりやすく、面白く、物語風に書かれ、思わず、民衆の生活文化史の世界にいざなわれます。

 

私たちのまわりには、バックグラウンドも名前もわからない人々が写った沢山の写真が残されています。実際に過去に着用されていた衣服に馴染みがないときに、無名の被写体が写った写真に示された衣服を解釈しようとすると、彼らが他の種類の歴史的な分析を行うどれほどすぐれた腕前をもっていようと、間違いを犯す可能性があります。

 

Joan Severa, Dressed for the Photographer: Ordinary Americans and Fashion, 1840-1900, The Kent State University , Press, 1995.

 

本書は、ミドルクラスや下層階級のアメリカ人たちが、ダゲレオタイプの銀板写真技術が導入された1840年から1900年の60年間に、記念写真や日常生活の写真に、どのような装いでおさめられたのか、かれらのバックグランドや服装のディテールの分析も含めて、マテリアル・カルチャー(物質文化)の視点から書かれたJoan Severa女史(1925-2014)による大作です。掲載された写真は何と277枚。服飾の専門家の視点で写真のなかの服装が的確に分析されています。

   

ヨーロッパやアメリカの上流階級の装いを扱った書物は、沢山、ありますが、アメリカの庶民(民衆)の装いを扱った書物は、J・セヴラ女史の上記の著作以外には、一冊もありません。

 

この大部な著作は、ジョーン・セヴラ女史が30年と言う歳月をかけて取り組まれた大作です。濱田のこの著作は、読者の皆様がジョーン・セヴラ女史の約600ページの大著をご活用いただくためのいわばガイドブックとしてまとめたものです。ジョーン・セヴラ女史の写真分析に基づいて、筆者の独自の立場から、写真が語る近代アメリカの民衆の装いを分かり易く解説させていただきました。

 

筆者はアメリカの庶民服を38年間に渡って研究してきました。本書は筆者の新しい研究書の普及版であり、翻案権を遵守して書かれた著作です。

 

本ガイドブックでは、ダゲレオタイプ、アンブロタイプなど写真技術史についても紹介しています。写真技術の発展に伴い、被写体の範囲が一部の金持ちの中流階級以上の人々から、中流・下層の民衆へと広がり、家庭裁縫に携わっていた人々、学校の教師、リフォーム・ドレスの運動に携わっていた人々、移民、西部入植者、農業労働者、解放奴隷、自由黒人、ネイティヴ・アメリカンなどミドルクラスや下層階級の様々なカテゴリーに属する庶民の写真が掲載されています。

 

我が国でも、海外でもとてもマイナーな分野の研究書です。セヴラ女史が収集されて、解説された素晴らしい、目を見張るような材料を、本ガイドブックを通じて、服飾研究者や学生や衣装デザイナーの皆様や映画監督の皆様や写真のアーキヴィストの皆様のお手元にお届けできれば幸いです。多くの読者の皆様に愛読されることを願ってやみません。

 

目 次

序文 

部 解説 

 はじめに

 1840年代 

1.歴史的背景と服飾の特色

2.写真技術の普及

3.知見 

 1850年代

1.歴史的背景と服飾の特色 

2.写真技術の普及

3.知見

 1860年代

1.歴史的背景と服飾の特色 

2.写真技術の普及 

3.知見 

 1870年代

1.歴史的背景と服飾の特色

2.知見 

 1880年代

1.歴史的背景と服飾の特色 

2.知見 

 1890年代  

1.歴史的背景と服飾の特色 

2.知見

 今後の研究課題  

 

 部 1840年代 

はじめに 

第1章 歴史的背景 

第2章 庶民女性の服装 

服種別、部位別にみた女性服(袖 胴

部 ネックライン 衿 ペルリーヌ 頭飾

りと帽子 アクセサリー〔手袋 装飾

品〕 下着  ラップ 履物 )

第3章 庶民男性の服装 

服種別、部位別にみた男性服(外衣 被り物 髪とAEE(あご)AAEE(ひげ)A

第4章 子ども服 

第5章 まとめ 

 

部 1850年代

第1章 歴史的背景 

第2章 庶民女性の服装 

部位別にみた女性服(袖 胴着とコルセ

ット 衿 下着〔シュミーズ クリノリン

フープスカート〕 アクセサリー  髪型 帽

子 履物 ラップ)

第3章 庶民男性の服装 

服種別、部位別にみた男性服(外衣 ネックウェアー 帽子  ヘアー・スタイル・ヒゲ)

第4章 子ども服 

第5章 まとめ

 

部 1860年代

第1章 歴史的背景 

第2章 ヨーロッパがアメリカの服飾に与えた影響 

第3章 階級・ジェンダーの視点から見た服装 

階級別にみた女性服(ドレスメーカー、及び家庭裁縫による仕立て)ジェンダーの視点から見た服装(リフォーム・ドレス

第4章 庶民男性の服装 

第5章 子ども服 

第6章 人種・民族の視点から見た服装

西部入植者 解放奴隷 自由黒人 ネイティヴ・アメリカン 移民の服装

第7章 まとめ 

 

部 1870年代  

第1章 歴史的背景

第2章 クリノリン衣裳からバッスル衣裳

階級別・職種別にみた女性服(新聞配達 織物工場の女子工員)服種別、部位別にみた女性服(衿 袖 裾 外套 部屋着 装飾

髪型 かぶりもの)

第3章 移民の服装(ノルウェーからの移民)

第4章 庶民男性の服装

第5章 子ども服

第6章 まとめ

 

部 1880年代 

第1章 歴史的背景

第2章 衣服の民主化 

第3章 金持ちと庶民女性の服装 

階級別にみた女性服 服種別、部位別にみた女性服(衿 袖 裾 外套 部屋着 装飾 髪型 かぶりもの)

第4章 庶民男性の服装 

第5章 子ども服 

第6章 まとめ 

 

部 1890年代 

第1章 歴史的背景  

第2章 バッスル衣裳の終息  

第3章 庶民女性の服装  

TPO・職種別にみた女性服(キャンプ 看護学校の制服 工場の労働 自転車乗車着)部位別にみた女性服(袖 下着 シャツブラウス ラップ アクセサリー 帽子 履物)

第4章 庶民男性の服装

第5章 子ども服

第6章 まとめ

 

用語解説

あとがき

事項索引

 

 


『20世紀アメリカの女性デザイナーの知られざる真実ーアメリカ服飾社会史 続編』(POD出版)

電子書籍 アマゾン kindle版 発売中

 ペーパーバック(Next Publishing インプレスR&D POD出版サービス) 2021年4月7日発売

 

アマゾンで販売

 

内容紹介

本書は、筆者の『アメリカ服飾社会史』シリーズの第4編である。本書のテーマは、端的に言えば、20世紀アメリカの女性ファッション・デザイナーの認知度である。アメリカの服飾研究者は、近年、この問題に精力的に取り組んでいる。彼女たちは、なぜ、認知度が低いのか。この点については、アメリカの服飾研究者は、正面切って見解を表明していない。筆者の憶測ではあるが、本書では、筆者のオリジナルな見解と今後の課題を打ち出した。

 

本書は服飾研究者、ファッションを学ばれている学生の皆様、ファッション・デザイナー、アパレル産業で衣服生産に携わっておられる皆様の必読書と言っても過言ではない。学術書ではあるが、一般読者の方々むけに、わかりやすく、読みやすい著作になるように、創意・工夫した。

 

国際的に見て、デザイナーの認知度のランキングは、いかがなものだろう?クリスチャン・ディオール、ココ・シャネル、イヴ・サンローランの知名度の高さは、言うまでもない。ラルフ・ローレン、カルバン・クライン、ダナ・キャラン、マーク・ジェイコブス 、マイケル・コースなどは、アメリカのファッション業界で著名な名前である。彼らは、収益性の高いグローバルブランドになっている。

 

 本書では、以下の6人の20世紀アメリカの女性デザイナーを扱っている。

 

 1920年代、サリー・ミルグリムはアメリカのファッションでパリの支配を克服し、パリのオートクチュールからの独立を宣言した。彼女は、現代のファッション・マーケティングのパイオニアでもあった。

 

ジェシー・フランクリン・ターナーは、ニューヨークで経済的に成功した永続的なクチュールビジネスを確立した最初のアメリカのファッション・イノベーターである。

 

ティナ・リーサは、1950年代に芸術家として育った。世界中を旅行しており、フェアトレード、持続可能性、デザインと生産におけるグローバルな展望を優先した。

 

ヘレン・リーとスザンヌ・ゴダートは、消費者の豊かさに支えられて、子どものファッションを大人の服と同等に位置づけようと努力し、成長する人口統計にファッションの視点をもたらした。

 

フィラ・ベネンソンは、ロシアからの移民であった。ニューヨークで名声を確立し大恐慌と第二次世界大戦を乗り切った大規模で多様なファッション・ビジネスを築いた。

 

皆さんは、これらのデザイナーをご存じでしょうか?おそらく、ご存じない方が多いのではないでしょうか?アメリカでも知られていないという。

 

こんな凄い活躍をしたファッション・デザイナーが、なぜ、知られていないのだろう? 

 

今日の社会では、SNSによる情報の受発信は、当たり前のコミュニケーション・ツールである。本書で対象としたSNSが未発達の時代には、認知度を高めるには、どのような方法があったのであろうか?

 

本書では、アメリカの服飾研究者の研究に基づいて、20世紀アメリカで活躍した6人の女性デザイナーの知られざる真実に迫ってみた。本書の出版によって、彼女たちの認知度が、我が国でも高まることを願っている。

 

 

       目  次

はじめに

第1章 サリー・ミルグリム

―アメリカン・ファッションのパイオニア―

1.歴史的背景と生い立ち

(1)歴史的背景

(2)生い立ち

2.ニューヨークのデザイナーとしての活躍

(1)デザイナーとして育まれた背景

(2)アメリカのファッション

(3)1930年代スタイルへの移行 1928₋1935年

(4)ファッション・マーケティングの起業家とパイオニア

3.まとめ

 

第2章 ジェシー・フランクリン・ターナー

―ファッション・イノベーター―

1.歴史的背景と生い立ち

(1)歴史的背景

(2)生い立ち

2.ファッション・イノベーターの誕生

(1)デザインの革新者としてのターナーの足跡

(2)ターナーの作品の特徴

3.‟Designed in America”キャンペーン

(1)“Designed in America”キャンペーンの歴史的背景

(2)モリス・デ・キャンプ・クロフォードの経歴

(3)“Designed in America”キャンペーンの特色

(4)“Designed in America”キャンペーンの成否

4.まとめ 

 

第3章 ティナ・リーサ

―グローバル・ビジョン―

1.歴史的背景と生い立ち

(1)年 表

(2)生い立ち

2 ハワイ、ニューヨークでの活躍

(1)ハワイでの活躍  1935-1939年

(2) ハワイからニューヨークへの進出 1940-1941年

(3)ニューヨーク他での活躍

3.コレクション

(1) 1940-1959年

(2) ニューヨーク、インド 1960-1982年

4.ティナ・リーサのファッション哲学

(1)「芸術から産業へ、産業から芸術へ」

(2)アメリカン・ルック

(3) 近代とポストモダニティ

5.まとめ

 

第4章 ヘレン・リーとスザンヌ・ゴダート

      ―子ども服デザイナー―

1.子ども服と子どもの概念の歴史

(1) 産業革命前の子ども服と子どもの概念

(2)母性と19世紀の子どものファッション

(3)20世紀の子ども向けファッションの開発

(4)性別と大人のスタイルの影響

(5)大量生産と子ども用既製服

(6)子どもたちの20世紀半ばのファッション市場

2.ジョセフ・ラブ社の発展の概説

(1) ジョセフ・ラブ社設立の背景

(2)ジョセフ・ラブ社の初期の開発、1920年代

(3)ジョセフ・ラブ社の子ども服の特色

3.ヘレン・リーの経歴と活躍

(1) 経歴

(2) 子ども服デザイナーとしての活躍

4.スザンヌ・ゴダートの生い立ちと活躍

(1) 歴史的背景と生い立ち

(2) 子ども服デザイナーとしての台頭

5.まとめ

 

第5章 フィラ・ベネンソン

―イリンスカ伯爵夫人・高級婦人服デザイナー―

1.ボンウィット・テラーの設立の背景と特色

2.生い立ち

3.ニューヨーク市での活躍

(1) ヴェルベンの設立

(2) ボンウィット・テラーでの活躍

(3)  婦人既製服のビジネス

4.まとめ

 

第6章 総 括

1.第二次大戦前のアメリカのパリ・モード礼賛

2.ドイツによるパリ占領後のファッション動向

3.第二次世界大戦後のパリ・モード礼賛

4.20世紀アメリカの女性デザイナーの知られざる真実

 

あとがき

事項索引

人名索引(ファッションデザイナー他)

文末脚注(注・写真/図版出典)


『アメリカ服飾社会史の未来像―衣服産業史の視点から―』(POD出版)

電子書籍 アマゾン kindle版 発売中

 ペーパーバック(Next Publishing インプレスR&D POD出版サービス) 2020年4月10日 アマゾンで発売中

 

内容紹介

 

 本書の主題は「アメリカにおける環境と衣服に関する諸問題」である。

 

本書は服飾研究者、ファッションを学ばれている学生の皆様、ファッション・デザイナー、アパレル産業で衣服生産に携わっておられる皆様、環境問題に関心のおありの皆様の必読書と言っても過言ではない。

 

本書の全体構成は目次(本紹介の文末に掲載)のとおりである。

 

 

3冊の拙著『アメリカ服飾社会史』(東京堂出版、2009)、『パリ・モードからアメリカン・ルックへ―アメリカ服飾社会史 近現代編―』(POD出版、2019年1月)、および、『アメリカ服飾社会史の未来像―衣服産業史の視点からー』(POD出版、2020年4月)はシリーズを成している。

 

本書は二部構成である。第一部では、アメリカの戦後のドレス・リフォームの第三の波を、第二部では第四の波を扱う。第一の波と第二の波については、『パリ・モードからアメリカン・ルックへ―アメリカ服飾社会史 近現代編―』において考察した。

 

第三の波とは1960年代から2000年代にかけてのファッションからファスト・ファッションへの転換の時期を指す。第四の波については、アメリカにおける未来を視野に入れた環境と衣服に関する諸問題への取り組みに着眼して、紹介・考察を行う。

本書のハイライトを成している。

 

ところで、筆者は、なぜ、ファスト・ファッションに着目したのか。その動機となったのは、ニコレイ・アンゲロフ(Nikolay Anguelov)氏の著作、The Dirty Side of the Garment Industry, Fast Fashion and Its Negative Impact On Environmental and Society, CRC Press, Taylor & Francis Group, Boca Raton, London, New York, 2016.である。以下はアンゲロフ氏の著書の序章からの抜粋である。

 

「ファッションは今や『ファスト・ファッション』であり、多くの人々によって創造され、多くの人々によって促進され、すべての人々によって楽しまれています。 この新しいファッションの現実は、すべて、手頃な価格、つまり安価な生地で作られた手頃な価格に基づいています。この手頃な価格は不快な秘密をもたらします。 大衆へのファッションの普及を可能にするこれらの安価だが高品質の布地の製造は、他のどの工業製品よりも品目ごとの毒性の高い化学物質の汚染を引き起こします。 世界銀行の推計によれば、全世界の水質汚濁の20%は、織物染色の流出過程、および天然(大部分は木綿)の布地のすすぎ中に発生しています。」

 

読者の皆さんは、アンゲロフ氏のこの衝撃的な言説をどのように受けとめられたでしょうか。

 

本書では、なぜ、パタゴニアに着目したのか。レイチェル・カーソン著『沈黙の春』(新潮社、1974)は、パタゴニア誕生の背景をなしている。パタゴニアの創設者のイヴォン・シュイナード氏は、ビジネスとリクリエーションにおける自然のクリーンクライミングと責任あるケアーを推奨した。カーソンは化学物質が人間、動物、鳥、河川、海などの生態系に及ぼす影響を赤裸々に論じ、警鐘を鳴らしているが、衣服産業が環境に及ぼす影響については論じていない。そこで、第二部ではアンゲロフ氏の著作とパタゴニアの歴史、理念、および、衣服生産活動を取り上げて、衣服産業が環境に及ぼす影響の問題にアプローチする。

 

今日の大量生産、大量消費が生んだ衣服ロスの現状は、科学技術の発展がもたらした悲惨な結果である。先人が築き上げてきた尊い服飾文化の価値、そして、その背後にある技術者の労働の価値を、今、いちど見直してゆかなければならないと強く思う。我々、大人は、これからの時代を担ってゆく、若い世代の人たちと手を携えて、服飾のもつ文化的価値、文化的意味、文化を生み出してきた人々の尊い労働の価値を認識し、正当に評価し、未来に向けて発展させて行かなけれならないと切に思う。

 

目 次

 

はじめに……3

 

第一部 ドレス・リフォームの第三の波

 

第1章 歴史的背景-1960年代から2000年代のアメリカン・ファッション―

1 1960年代……15

2 1970年代……28

3 1980年代……38

4 1990年代……46

5 2000年代……55

 

第2章 カスタム・メイドの推進者-アーノルド・スカージの生い立ちと活躍-

1 歴史的背景と生い立ち……68

2 ファッションへの道……72

3 ファースト・レディの衣装デザイン……76

4 服作りのコンセプトとシステム……79

5 裁断の特徴……86 

6 アーノルド・スカージの業績の意義……91

 

第3章 ファッションからファスト・ファッションへの転換―ギャップを事例として―

1 ファッションからファスト・ファッションへ ……97

2 ギャップ誕生の歴史的背景……98

3 ギャップと リーバイス®社の良好な関係……100

4  ギャップと リーバイス®社の亀裂……102

5  リーバイス®社のリサイクル活動……110

6  若者のジーンズ離れ……113

 

第二部 ドレス・リフォームの第四の波-アメリカにおける衣服産業の未来像-

 

第1章 ファスト・ファッションの闇の世界

1 映画『ザ・トゥルー・コスト』の概要……119

2 映画『ザ・トゥルー・コスト』の重要ポイント……121

3 ニコレイ・アンゲロフ氏の紹介……123

4 ジェシカ・ブランシントン氏とニコレイ・アンゲロフ氏のインタヴュー―The Dirty Side of the Garment Industryをめぐって― ……124

 

第2章 アメリカの今日の衣服産業に見られる問題点―ニコレイ・アンゲロフ氏の著作の序章から―……129

 

第3章 アメリカの衣服産業の闇の世界における諸問題に関する考察

1 織物加工のプロセスが生態系に及ぼす影響……132

2 世界貿易機構(WTO)の水質に関するガイドラインとその効果……136

3 繊維生産に関連する水質汚染レベルの研究の欠落……138

4 古着の行方……145

5 エコファッションの社会的影響……151

6 購買行動を左右するもの……154

7 ニコレイ・アンゲロフ氏の提言……155

8 まとめ………158 

 

第4章  環境にやさしい衣服産業のビジネス・モデル―パタゴニアを事例としてー

1 はじめに……162

2 パタゴニアの歴史……165

3 パタゴニアの理念……167

4 パタゴニアの衣料生産活動……169 

5 アンゲロフ氏とパタゴニアの見解の関係性と今後の課題……180

6 まとめ……183

 

本書の総括……186

     

あとがき……195

注……198

図版出典……212

事項索引……214

人名索引……220

 

 

濱田雅子著『パリ・モードからアメリカン・ルックへ―アメリカ服飾社会史 近現代篇ー』(POD出版)

電子書籍 アマゾン kindle版

ペーパーバック(Next Publishing インプレスR&D POD出版サービス) 2019年1月10日 アマゾンで販売中

 

本書は拙著『アメリカ服飾社会史』(東京堂出版、2009年)の近現代篇である。とはいえ、本書を前著とは切り離して、単独の著作としてお読みいただくのは、読者の皆さんのご自由である。本書は二部構成であり、第一部では、19世紀から20世紀中葉アメリカのドレス・リフォーム運動の実態とその衰退をテーマとしている。下記の目次に見るように、第3章では「ブルーマー運動」の実態とその衰退、衰退の要因について検証した。「ブルーマー運動」の衰退後、ドレス・リフォーム運動が復活する。第4章第1節では、この運動の復活に取り組んだリディア・セイヤー・ハズブルック(Dr. Lydia Sayer Hasbrouck, 1827~1910)が編集した機関紙『シビュラ』(Sibyl*)紙におけるドレス・リフォーム思想について論じた。第二部では、「パリ・モード」から「アメリカン・ルック」への転換をテーマとしている。

*Sibylの発音は、正確には、シビルではなく、シビュラである。シビラ、シビッラ、シビュレ―とも発音されている。

 

 

目 次

はじめに

第一部 19世紀から20世紀中葉アメリカのドレス・リフォーム運動の実態とその衰退

第1章 歴史的背景―ニューヨークのファッション

1 産業革命後のニューヨークにおける商業と文化の発展

2 ファッションの発展

(1) 古代調衣装とエンパイヤ・スタイル

(2) ロマンチック衣装

(3) クリノリン衣装

(4) バッスル衣装

3 まとめ……34

第2章 前奏曲:ユートピア思想とパンツをはいた女性たち(第一期)

1 ズボンの発生

2 ドレス・リフォーム運動の時期区分

3 ニュー・ハーモニー共同体でのドレス・リフォーム

4 オナイダ共同体でのドレス・リフォーム

5 シェーカー教徒の共同体と服装

6 クエーカー教徒の共同体と服装

7 水治療医師によるドレス・リフォーム

8 まとめ

第3章 ブルーマーリズムと衰退(第二期)

1 新しいコスチュームの提唱

2 もともとの考案者

3 社会の反応―賛否の渦 

4 衣生活への浸透度

5 ドレス・リフォームから女性権利運動へ

6 異なる方向への定着

7 まとめ

第4章 ドレス・リフォーム運動の復活から衰退へ(第二期)

1 『シビュラ』紙に見るドレス・リフォーム思想

2 メアリー・E・ウォーカー博士のドレス・リフォーム思想と運動

(1) 歴史的背景と生い立ち 

(2) 南北戦争以前のドレス・リフォーム思想と運動

(3) 南北戦争での活躍

(4) 南北戦争後のドレス・リフォーム運動―異性装のメアリー・E・ウォーカー博士

3 ドレス・リフォーム運動(第一期、第二期)の衰退の要因

第5章 新しいドレス・リフォームの波(第三期)とドレス・リフォーム運動の意義

1 新しいドレス・リフォームの波

2 ドレス・リフォーム運動の意義

第二部 「パリ・モード」から「アメリカン・ルック」への転換

第1章 歴史的背景―1800年代から1950年代のニューヨーク・ファッション

1 1800年代

2 1900年から1920年

3 1920年代

4 1930年代

5 1940年代

6 1950年代

第2章 アメリカン・ルックの推進者ドローシー・シェーバーの生い立ちと活躍 

1 年表

2 生い立ちと活躍

第3章 「シェーバー・タッチ」とは

1 比較ショッピング局の設立

2 ファッションと装飾の局の設立

3 現代フランス絵画と装飾美術展覧会の開催(1928年)

4 ロード・アンド・テーラーの再ブランド化

5 アメリカのデザイナー・ムーブメントと「アメリカン・ルック」キャンペーン

第4章 ドロシー・シェーバーの業績の意義

あとがき

事項索引

人名索引

 

 

 



 衣装が語るアメリカ文学、金星堂、 2017年9月1日

定価(税込) 2916円

 

本書は,アメリカ,およびカリブの文学や文化に現れる「衣装」について,「時代の目撃者」,「民族を映す」,「『衣装』という表象」,「あざむく」という章構成のもと,様々な角度から検討したものである。本書を貫くのは,「衣装」という比較的わかりやすいテーマではあるが,一見しただけでは見えにくい表象や事象が,専門の目で探求されている。

 

 

 

 

 

目次

序にかえて

第一章 時代の目撃者

飽和の時代と拘束 ― 『アメリカン・サイコ』に見るウォール街の「衣装」 (伊達 雅彦)

〈革命〉をデザインする ― 一九六〇年代アクティヴィズムにおける〈見かけ〉の政治学 (馬場 聡)

ユダヤ系アメリカ人と既製服産業 ― 古着販売からアメリカの象徴ジーンズへ (君塚 淳一)

初期アメリカの奴隷の職種と仕事着 ― トマス・ジェファソンのプランテーションの場合 (濱田 雅子)

 

第二章 民族を映す

極北民族イヌイト社会にみる衣装の機能と象徴性 (本多 俊和 (スチュアートヘンリ))

物語から読み解くチルカット・ブランケット (林 千恵子)

マルディグラ・インディアンにみるフードゥーの混合主義 ― イシュメール・リード『なつかしきニューオリンズ懺悔の三ヶ日』をてがかりとして (峯 真依子)

脱いで始まる、着ずに始めるカーニバル ― 内と外から見るカリビアン・アイデンティティ (山本 伸)

 

第三章 「衣装」という表象

意匠あるいは衣装としての比喩 (西原 克政)

象徴としてのズボン ― アリス・ウォーカーの『カラー・パープル』 (清水 菜穂)

雪のなかの豹 ― ポスト人種的ヴィジョンとトニ・モリスン『神よ、あの子を守りたまえ』 (川村 亜樹)

 

第四章 あざむく

隠れて騙る、隠して語る (西垣内 磨留美)

ウィニフレッド・イートンの自伝小説『私』におけるファッションとその意味について (中地 幸)

イギリスのなかのカリブ ― ポーリン・メルヴィル作品にみる偽装と衣装 (岩瀬 由佳)

先住民の衣装と犯罪者の偽装 ― トニー・ヒラーマンのミステリーを解く (余田 真也)

アメリカ喜劇映画における「女装」の文化史 (中垣 恒太郎)

あとがき

 

編著者紹介/執筆者紹介

 


ダウンロード
濱田雅子の服飾講座「服飾からみた生活文化」シリーズ(1~10)の報告集 2017年1月16日発行 アメリカ服飾社会史研究所
濱田雅子の服飾講座報告集 (5).pdf
PDFファイル 4.5 MB

  


P.F.コープランド著、濱田雅子訳、図説 初期アメリカの職業と仕事着ー植民地時代~独立革命期、悠書館、2016年

 

定価]本体2,800円+税

[体裁]四六判・304ページ

[ISBN]978-4-86582-009-6

 ✣日本図書館協会選定図書

 

1710年から1810年までの100年間、新聞・雑誌に取り上げられたり肖像画などが残されたりしている上層階級とちがい、一般大衆や地方の農民がどのような職業に就き、どのような服を身にまとっていたのかを示す遺品は皆無に等しい。しかもこの時代のアメリカには、イギリスのホガースやパインのような下層階級の人びとを描いた画家が生まれなかったので、植民地時代のアメリカの一般大衆は、その時代に描写されないまま、歴史から消えてしまった。

 

著者コープランドは、移民としてやってきた人びとの本国(大多数がヨーロッパ)の絵画資料をもとに、アメリカの大衆の生活と服装を類推する方法をとり、さらに、逃亡奴隷を捕えるための広告や旅行者の明細書などにもとづいて、みずからイラストをおこし、仕事着の材質から着用の仕方まで詳細に解説をほどこした。図版はイラスト223点、写真36点にのぼる。

 

本書は、歴史から取り残されてしまった18世紀アメリカの中産階級や下層階級の生活の実相を、体系的かつビジュアルによみがえらせた貴重な文献である。

 

目次

序論

 第1章  船乗りと漁師

 第2章  農民と農村労働者

 第3章  職人と都市労働者

 第4章  商人と行商人

 第5章  フロンティア開拓者

 第6章  輸送労働者

 第7章  公僕

 第8章  正規軍と民兵

 第9章  知的職業人

 第10章 使用人

 第11章 年季契約奉公人と奴隷

 第12章 犯罪人

 第13章 民族に固有の服装

 

 用語解説

 訳者あとがき

 再版にあたっての訳者あとがき

 事項索引

 

 人名索引

 


濱田雅子著、アメリカ服飾社会史、東京堂出版、2009年

ISBN 9784490206692

判型・ページ数 A5・256ページ

定価 本体2,600円+税

 

アメリカ先住民の衣文化とアメリカ大陸発見後の入植時代からアメリカファッションはヨーロッパの影響を受けながらどのように変容していったのか。社会や文化を背景にその歴史をたどる。

  

 

 

 

 

目次

第1章 北アメリカの自然と衣文化

第2章 プランテーションの衣文化

第3章 アメリカらしさの萌芽

第4章 フランス・ファッションへの憧憬

第5章 ローウェル工場の日々

第6章 西部開拓時代の衣生活

第7章 家庭裁縫から既製服生産へ―1840年代~1920年代のパターン・システム

第8章 衣服大衆化の時代


濱田 雅子 著, 高梨 暢雄 著、ファッションを描く―IllustratorとPhotoshopでスタイル画 [単行本] 

東京堂出版、2005年9月

ISBNコード 978-4-490-20560-2 

税込価格 3,024円

 

 

近年、ファッションの世界でもコンピュータの技術を駆使したデザインや製作が盛んに行われるようになりました。本書はファッション業界のこうした現状や今後を見据えて、コンピュータ・グラフィックでスタイル画を描くための手引き書として製作したものです。

 

練習用素材入りのCD‐ROMを付けたので、短期間で現場でも自宅でもツールの使い方を独習できます。

 

 

目次 

Illustrator CS編(パスの基礎練習

パスの編集

色の編集

テキスタイルの作成 ほか)

Photoshop CS編(画像の切り抜き

テキスタイルの合成

カラー設定と色調補正

描画モードを使った合成 ほか)

著者紹介

 


濱田雅子著、黒人奴隷の着装の研究―アメリカ独立革命期ヴァージニアにおける奴隷の被服の社会的研究、東京堂出版、2002年

ISBN 9784490204605

判型・ページ数 B5・252ページ

定価 本体8,000円+税

 

18世紀、アメリカ独立革命期のヴァージニア。プランテーションで働く“黒人奴隷”は、どのようなものを着ていたのか。実物の現存が皆無の研究条件のなかで、著者は、当時の「逃亡奴隷広告」に記された黒人奴隷の逃亡時の被服描写やプランターの手紙・帳簿などの諸史料、あるいは出土資料、復元した被服素材などを悉く現地調査した。

 

さらに、今は使用されなくなった多種の被服素材を逐一検証し、また史料・関連文献をデータベース化して解析しながら、服飾学と歴史学の確かな眼をもって、彼らの衣生活の実相に切り込んだ。そして、黒人奴隷の着衣のイメージや、当時の有力プランターの被服管理の実情等を、当該期アメリカ史の流れのなかに位置づけることに成功した。

 

アメリカにおいても未開拓の研究領域に真正面からアプローチし、上流階級のきらびやかな服飾史とは異なる中産下層の民衆の衣生活を描破した画期的な労作。

 

目次

序章(目的と方法/研究史 ほか)

第1章 歴史的背景(アメリカ独立改革と合衆国の成立/ヴァージニア植民地の成立 ほか)

第2章 史料としての逃亡奴隷広告(被服描写の史料的価値/被服情報の数量化 ほか)

第3章 逃亡奴隷の着装情況ーその数量的アプローチ(奴隷の被服の種類と素材の特徴/男子の逃亡奴隷の着装実態 ほか)

終章/付録 資料編


P.F.コープランド 著・濱田雅子 訳、アメリカ史にみる職業着 - 植民地時代~独立革命期- Working Dress in Colonial America、せせらぎ出版、1998年

 

ISBN-4915655814

B5判 上製本

定価:6,171円(本体5,714円+税)

 

植民地時代から独立革命期の100年間(1710~1810年)にわたるアメリカ史にみる職業着が、200点を超える挿し絵と30点余りの写真を駆使して歴史的背景とともにビジュアル化される。歴史・文学・服飾研究など多方面に役立つ平易な専門書。

 

 

 

目次

序論

 第1章  船乗りと漁師

 第2章  農民と農村労働者

 第3章  職人と都市労働者

 第4章  商人と行商人

 第5章  フロンティア開拓者

 第6章  輸送労働者

 第7章  公僕

 第8章  正規軍と民兵

 第9章  知的職業人

 第10章 使用人

 第11章 年季契約奉公人と奴隷

 第12章 犯罪人

 第13章 民族に固有の服装

 


濱田雅子著、アメリカ植民地時代の服飾、せせらぎ出版、1996年

 

ISBN-4915655679

B5判 上製本

定価:6,291円(本体5,825円+税)

 

アメリカ史学と服飾史学を結合させた日本で最初のアメリカ服飾史の研究書。専門書・教科書として高い学問的水準を持つと同時に、豊富な写真・図版・地図など(189点)を駆使し平易な記述が工夫された、専門外の読者をも魅了する一冊。

 

 

 

 

目次

第1章 アメリカ植民地史の概観―服飾史との関連において―

第1節 ヨーロッパの背景と服飾

第2節 ヴァージニア植民地の建設と服飾

第3節 ニュー・イングランド植民地の建設と服飾

第4節 ニュー・ネザーランド植民地とニュー・ヨーク植民地の建設と服飾

 

第2章 植民地建設期(1607-1675)の服飾

第1節 ヴァージニア植民地の服飾

第2節 ニュー・イングランド植民地の服飾

第3節 ニュー・ネザーランド植民地とニュー・ヨーク植民地の服飾

 

第3章 植民地成熟期(1675-1775)の服飾

第1節 植民地における社会・経済的発達と服飾

第2節 植民者の服飾の統一と変化・発展

 

結語 植民地時代アメリカの服飾の歴史的意義

 


丹野郁監修、世界の民族衣装の事典、東京堂出版、2006年9月 濱田は第8章北アメリカ 333-362頁、第9章メキシコ 372-377頁を担当。

 

 

 

ISBN 9784490106688

判型・ページ数 B5・384ページ

定価 本体20,000円+税

 

 

 

世界各地の民族衣装を国や地域ごとに紹介する、初のエンサイクロペディア!着ることに表現された世界の人々の文化・習俗・思惟をこの一冊に網羅。

 

 

 

目次

1 東アジア

2 東南アジア

3 南アジア

4 西アジア・アフリカ

5 ヨーロッパ

6 ロシア

7 中央アジア

8 北アメリカ

9 中南米・オセアニア


丹野郁編、西洋服飾史 増訂版、東京堂出版、1999年5月  第5章 濱田雅子担当

 

ISBN 9784490203677

判型・ページ数 B5・246ページ

定価 本体2,700円+税

 

西洋の服飾史が社会的背景と深く関わりながらどのように変遷したかを遺品や彫刻・絵画・記録など可能な限りの資料を用い実証的に解説した。カラー口絵8頁のほか503点の写真・図版を収載。

 

 

 

 

目次

1 古代(衣服のはじめ・衣服の基本形態;エジプト人の服飾 ほか)

2 中世(ビザンティン帝国の歴史的背景とその服飾;中世西ヨーロッパの歴史的背景とその服飾 ほか)

3 近世(16世紀の服飾;17世紀の服飾 ほか)

4 近代(総裁政府時代の服飾;いわゆるエンパイヤ・スタイル―1799~1817年 ほか)

5 現代(初期現代衣裳;第一次世界大戦と現代婦人服の成立 ほか)


J.ギロウ&B.センテンス著、日本語版監修=丹野 郁/翻訳編集=国際服飾学会、世界織物文化図鑑、2001年

第5章染料の翻訳を 担当。担当頁:118-145頁。

 

ISBN: 4887215215

価格(税込): \16,200

判頁: A4判/240頁

 

 

 

世界中のあらゆる布地に目をむけ、自然の動植物から得た材料を、個性豊かな装飾具や生活用具に仕上げる手法を紹介。多数の写真や挿し絵と共に民族の知恵と技術の全てを解明する。

 

 

【目次】

1 様々な素材

2 機を使わないテキスタイル

3 機織織物

4 彩色した布・プリントした布

5 染料

6 針仕事

7 刺繍

8 装飾

 


アルベール・ラシネ/原著 アイリーン・リベイロ/編 国際服飾学会/訳編集、世界服飾文化史図鑑、原書房、1991年8月  濱田共訳。担当頁:68-75,96-107,170-197,226-239,286-313頁。

 

ISBNコード 978-4-562-02201-4 (4-562-02201-9)

税込価格 27,262円

 

 

 

 

 

 

古代~19世紀末までの、あらゆる国や民族の服飾文化を、地理学・歴史学・人類学的な視点から綜合した巨大な労作!

 

目次

第1章 古代世界

第2章 19世紀の古代文明

第3章 ビザンチン帝国から19世紀までのヨーロッパ

第4章 1880年代の伝統的衣裳